BMW E36 M3Bのエンジン不調で入庫したクルマです。
エンジン不調の原因はいくつかありますが、センサー類が規定外の数値で信号を送るケースや機関本体のトラブルなど、他にも分類していくと、様々です。
今回は、吸気系統のゴム製部品の劣化が原因の不調でした。
エアクリーナーから吸入したエアをエアフローセンサーが計測してサージタンクを通過し、スロットルバルブからINマニへ流れます。
途中のエルボホースの劣化と、INマニと吸気ポートの間のインシュレーターに付属するOリングの劣化が主な原因でした。
また、周辺をバラすついでに、水回りの点検と部品交換を承りました。
名機S50エンジン。 力強い吹け上がりは独特。
ラジエターファンや、ファンシュラウドを外して、作業スペースを確保します。
サーモスタットを外したところ。 冷却水はきれいな色でした。 オーナー様は、「たいしたことはできないけれど自分でできる範囲で手を入れています」との事。
外したサーモスタットとハウジング。 サーモスタットは交換しました。 写真はありません。
ウォーターポンプです。 状態は良好ですが、オーナー様のご希望で交換いたしました。
ラジエターホース。 上から1本目と3本目が旧品。 2本目と4本目が新品。
ウォーターポンプを装着しました。
サーモスタットも装着し、これから本題のエンジン不調の修理へ取りかかります。 既にエアクリーナー類は取り外してあります。
サージタンクを外しました。 この部分は、特に問題はありませんが、ブローバイで内部が汚れているので、クリーニングします。
ホースは新品に交換します。
旧品は、ホースが固まってひび割れを起こし、軽微な二次エアー吸いをしていました。
眺めのよい6連スロットル。
汚れが付着しています。
やはりバラしてクリーニングと調整をします。
今回の不調の一番の原因は、スロットルとヘッドの間にあるインシュレーターのOリング不良でした。 写真にはありませんが、この黄色のインシュレーターの外側と内側にOリングがあり、熱で厚みが変わり、二次エアーを吸っていた事が原因です。
インシュレーターを新品に交換し、Oリングを新しい物に変えて完了です。
ちなみに、エルボホースもひび割れがひどく、交換をお勧めしました。
表面にひび割れが多いわりには、エア吸いは軽微でした。
新品。 表面がきれいな状態です。 全て完了後にエンジンを始動すると、滑らかなフィーリングが甦り、BMWの直6エンジンらしさがもどりました。