アルファロメオ156 V6 タイミングベルト・ウォーターポンプ

アルファロメオの鬼門、タイミングベルト。タイミングベルトが切れると言われますが、実際に切れてしまうケースはまれで、ベルトに付随する部品が劣化し、ベルトが滑ってバルブ開閉のタイミングがずれてバルブクラッシュをする事がよく見られます。

今回、交換を予定している部品です。
上から、
・タイミングベルト
・アイドラープーリー 2個
・タイミングベルトテンショナー
・ウォーターポンプ
右上から
・ガスケット小
・ガスケット大

平時は、とても滑らかなフィーリングで"官能的"と言うに値するV6エンジンですが、少々ヘソを曲げやすいヤツ。
ちなみに、タイミングベルトは、エンジンの左側にあります。
このエンジンは、ノイズが多いエンジンですが、タイミングベルト付近からカタカタと音が出ていたら、即メンテ状態です。
ご注意を!!

右フロントタイヤハウスから、タイミングベルトの作業をします。

まずは、タイヤを外します。

タイヤを外した状態。 この方、KONI FSDを装着しています。 アルファ156にピッタリの乗り味です。

カバーを外すと、ベルトが出てきます。 まだまだタイミングベルトではありません。

同時に、下回りの点検なども実施します。 これはおまけです。 今後のメンテの目安になれば。

ベルトの続き。 このベルトは、クランクの駆動からオルタネーター、エアコンのコンプレッサー、パワステポンプ、ウォーターポンプ等を回します。

ベルトを外した状態。

上から、テンショナーとプーリー
左にアイドラープーリー
右下もアイドラープーリー

不思議なことに、ここら辺は劣化の進行がタイベルの構成部品よりもゆっくりです。

エアインパクトでクランクプーリーのボルトを外します。

クランクのスプロケットはいい錆具合。

合いマークを付けて、スプロケット周りをキレイにします。

カムスプロケットもマーキングして、キレイにします。

アルファV6のタイミングベルト周りのトラブルで、一番多いのが銀色に輝くアイドラープーリーのベアリング劣化。
ベルトの張りが強すぎると、1万キロの走行くらいで"ウィーン"とうなります。
ご注意!!

コヤツは、タイミングベルトのテンショナー。
ベアリングのグリースが飛び出て付着しています。
このグリースがタイミングベルトに付着すると、ベルトの滑りが発生してバルブクラッシュという恐ろしい顛末に。

新旧の比較ですが、この写真じゃわかりませんネ。

続いてアイドラープーリーを外して、さらにウォーターポンプを外します。
部品の摩耗が激しい為に、アイドラープーリーはタイミングベルトのメンテ時は要交換部品です。
アイドラープーリーのベアリングがロックして、タイミングベルトがコマ飛びするトラブルはよくあります。

ウォーターポンプのインペラ。
プラスチック製。
中心の右側に一本の筋が。
これは、劣化して割れ始めています。
これはポンプの終わりの始まりで、中心の筋が次々に増殖してポンプが空回りする。
やがてオーバーヒートに・・・・
判断方法は、アイドリング時にヒーターの効きが悪いが、走り始めると暖かい。
とか、水温計が最近高めかな。
等です。

ポンプの新旧比較です。
上が旧品、下が新品。
そうです。インペラが鉄なんです。
もともと、信頼性が低い部品ですが、一箇所でも安心できる部分がある物に交換するだけでも、精神衛生上OK。

エンジン側のウォーターポンプ接続部をキレイに清掃し、ウォーターポンプを取り付けます。
ここの面が汚れていると、冷却水が漏れます。確実に。

ここまで写真で状態を説明しながら進めてきましたが、何分とても時間がかかるアルファV6のタイベル周り。
慎重に超ダッシュで作業しても1日はかかります。
なので、先の写真は撮影していません。

以後の作業は、
・ウォーターポンプ取付
・タイミングベルトのアイドラープーリー2個取付
・タイミングベルト取付(寸分の狂い無く)
・テンショナープーリー取付(張り具合に要注意)
・冷却水注入
・クランクスプロケットとカムスプロケットの同調確認
・クランクプーリー仮組み
・慎重にエンジン始動
・エンジンの状態を確認
・クランクプーリーを外す。
・エアコン類のベルトとテンショナーやプーリーの取付
・クランクプーリーの再度取付
・ベルトカバーの取付
等の作業を続け、一通り組み終わったら、再度アイドリング状態でエンジンの様子を点検します。
ウォーターポンプが正しく機能しているかの確認の為、診断機を使用して冷却水の上昇状態をモニターします。

"官能的"を維持する為には、慎重さを欠かせない作業となります。

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